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正気に戻った時に思い出すと、急に恥ずかしくなってしまい、真琴は顔でも洗おうとして起き上がる。
「わっ……」
しかし、それは叶わず、ベッドに横になったままとなった。
そうなったのは、真琴の身体を拘束しているものがあって、妨害されてしまったからだ。一体何だろうと恐る恐る自分の身体の方へ視線を向けると、裸の胸元が見えた。何も着ないまま寝てしまったのかと、恥ずかしさが増している所へ、もぞもぞと胸元へ巻きつく腕が見えた。
「勇仁……」
どうやら先ほど真琴が起き上がるのを妨害したのは、勇仁の腕だったらしい。
後ろから抱きついて寝ている勇仁が、真琴の身体に腕を巻きつけて逃さないようにしていたのだった。
正体が分かりホッとした所で、改めてどうしようかと考える。
勇仁を起こして顔を洗いにいくのもいいが、折角気持ちよさそうに寝ているのを起こすのも気が引けてしまう。急ぐ必要もないので、このままそっとしておこうと思った。
昨日受けたテストが最後だったので、真琴は今日から夏休みに突入していた。バイトも入れてないし時間には余裕がある。
「ん……」
自分も二度寝しようと思い、目を閉じた瞬間、背後で寝ている勇仁が身じろぎをした。
直ぐに起きそうな気配がして、真琴は閉じたばかりの目を再び開けた。
「んん……あれ、朝か……」
寝ぼけているが、勇仁が目を覚ましてぶつぶつと呟き始めた。
「あ……まこっ!」
「えっ!?」
自分の前に真琴が居る事を認識した勇仁が、急に力を込めて抱きしめてきた。いきなりの事で、真琴はびっくりして声が出てしまった。
「まこも起きたのか? おはよう」
「お、おはよう」
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