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注文してから暫くして、目の前にチーズバーガーが運ばれてきた。染谷がいう通りボリュームがあって香ばしい匂いが漂っている。食欲がそそられた真琴は、早速バーガー袋に入れて匂いを嗅いでから、かぶり付いた。
「美味しい!」
食べた直後に、真琴の口からその一言が飛び出した。それを聞いた染谷は、満足そうに笑っていた。
「良かった、良かった」
「うん、確かに美味いな」
少し遅れて真琴の隣に座っている勇仁が、ぼそりと呟いた。
「とっておきの店に連れてきたんだ。勇仁は、もっと美味しそうに言いながら、俺に感謝しろよー」
「そめやん、それはこっちの台詞。元々まこと二人で食べるつもりだったのに、仕方なく一緒に食べてやってるんだ、感謝されるのはこっちだろ」
「まぁ、まぁ……折角美味しいバーガー屋に来てるんだし、熱いうちに食べよう」
再び二人の言いあいが始まりそうだったので、今度は割って入って口を挟んだ。
「……そうだな。さっさと食べ終えて、そめやんと別れようぜ」
「勇仁め……春木と上手くいったからって、急に冷たいなぁ」
何とか沈める事が出来てホッとしていた所だったのに、染谷の言葉を聞いた瞬間、真琴は噎せてしまった。
「まこっ、大丈夫か!?」
「春木、大丈夫?」
二人の真琴を気遣う声が重なった。
真琴は大丈夫だと返して、暫く咳き込んだ後に落ち着かせていった。
言った本人は何とも思っていない気がするが、染谷の言い方がどうも気になった。
上手くいったという言葉に、真琴はどうしても仲直りした友人というよりは恋人になったという意味合いにとれてしまい、咄嗟に噎せてしまったのだ。
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