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「まこは、そめやんが居るから気にしてたのか。あんなの、気にしなくていいぜ」
勇仁もそれに乗っかる様にして、再び真琴に勧めてきた。
「おーい、勇仁。あんなのってのは酷くねぇ? まー、二人がイチャついてるなんて今更だし、俺を前にして気にしなくていいぜ」
「え? 染谷、なんで……」
ちゃんと友人としての距離感を保たないとと思っていた真琴は、染谷の発言を聞いて驚いてしまった。
さっきのは冷やかしの意味で言ったと思っていたが、今のは冗談抜きにして言っている感じがする。混乱で頭の中をまともに整理する事が出来ず、真琴は戸惑うばかりだった。
「よし、勇仁。追加で飲み物買ってきてくれ」
「はぁー!? そめやん、何言ってんだよ」
そんな真琴の状態に気付いた染谷は、勇仁にお金を渡して飲み物を買いに行かせようとした。
これまでの二人のやりとりを見てる限りでは、染谷に言われて勇仁が素直に買いに行くとは思えない。
案の定、突然言い出した染谷に勇仁は反発していた。それもお見通しだった様に、染谷がぼそぼそと耳打ちをして何か囁くと、急に勇仁が大人しくなって立ち上がった。
「え……?」
突然の変化に驚いた真琴は、勇仁の方を見た。
「ん? まこも、なんか欲しい物あるか?」
「いや……大丈夫」
見上げた勇仁の顔は、怒ってる様子はなくて普通だった。
「じゃあ、買いに行ってくる」
それだけ言い残すと、勇仁は少し並んでる列の後ろへと向かっていった。
「やっと、うるさいのが居なくなったな」
勇仁の姿を目で追いつつ、染谷が真琴に向けて言った。真琴は頷く事も出来ず、黙るしかなかった。
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