【7】

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「あれは、周りがうるさかったから、ああしただけだよ」 「まさか……そめやんに口説かれてたとかじゃないだろうな? まこ、浮気は許さねぇぞ」  思ってた事を勇仁の口から聞いて、笑う所か唖然としてしまった。 「ばっかじゃないの。する訳ないだろ」 「そうかなー?」  意外と勇仁は周りが見えてない事に、最近になって気付いた。  特に真琴の事になると……と言うと、少し自惚れが混じってる気がして、あまり思いたくない所だ。  すんなり納得しない勇仁を横目で見て、真琴は先ほど染谷と話していた事を思い出す。 「俺もさ、最初は勇仁がやけに春木の事を気に入ってんなーとしか思ってなかったんだ。春木を自分以外の奴に近づけさせないようにしてたのも、子どもじみた独占欲からだろうなって思ったし」  真琴の耳元で染谷が話し始める。  今のところは、勇仁に対して染谷が思ってた事を言ってるようだ。この後はどんな話に展開していくのだろうと思いながら、真琴は気を緩めずに聞いていた。 「けど、春木の家を出て俺の家に来た時にさ、勇仁が相当参っててな。その時に、いつもの独占欲だけじゃなくて、本気なんだなって思ったんだよな……」  自分が知らない間の話を聞くのは新鮮だった。染谷の家に泊まってたのは前に聞いていたので知っていたが、そこまで参っていたのかと思うと驚かされた。 「そんなに?」 「ああ。あの勇仁が、ずっと頭抱えてたぜ」  染谷が楽しそうに声を弾ませて言うので、真琴も見てみたかったなと少しだけ思ってしまった。
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