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「まこ、顔が赤いけど……?」
「いや……」
思い出した今も、恥ずかしさから顔が赤くなっていたらしい。
指摘されて咄嗟に否定したが、覗き込んで真琴の顔を確認した勇仁は信じなかった。
「で? 結局、そめやんと何話してたんだ?」
「……勇仁の事だよ」
疑いのまなざしで、先ほどと同じ質問をされて、今度は素直に答えた。
最初に聞かれた時は、全部話すせば恥ずかしさに勝てずちゃんと話せそうにないと思ったから、交わす事にした。
その後に、あり得ないと思っていた染谷との関係を勇仁が疑い始めたので、そっちに話が流れてしまったのもあるのだが。
二回目で聞かれてちゃんと答えたのは、もう今更だと思ったからだ。既に顔が赤いし、思い出しただけで恥ずかしい思いもしている。
「俺……の話?」
「そう。染谷から見て、勇仁がオレの事をどう思ってたかって……そんな話」
詳細まで言ってないのに、じわじわと恥ずかしさが増してきた。本人を前にして言うのは、意外と覚悟がいるもんだなと真琴は頭の片隅で思った。
「そめやん……そんな事言ってたのか。ホント、厄介な奴だな……」
「あ、でも……染谷は、オレに気遣ったんだ。さっきのハンバーガー食べてた時も、何か変に距離感を気にしてたからさ」
「ああ……そういえば、まこはそめやんを気にして、俺のやつ食べなかったもんな」
このままでは染谷が悪者になってしまうと思い、慌てて付け足した。真琴が言ったのを聞いて、勇仁は染谷に対して抱いた怒りを少し沈めた様だった。
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