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 身体のあらぬ所が痛いとは言えなかったので、風邪かもしれないと嘘をついた。  流石に勇仁を疑う気持ちは落ち着いたのだが、一緒にご飯を食べるだけでも、今の真琴にとってはキツイのだ。 「え? まこ、風邪気味って……大丈夫なのか? 俺、今から見舞いに行けるけど」 「だ、大丈夫だから! 寝てたら治ると思う。それに勇仁をサボらせるのも気を遣うし、悪いから……」 「そんなの、気にしなくていいのに。辛い時は頼れよ。じゃあ、今から行……」 「ゆ、勇仁は来なくて大丈夫! とりあえず、今日はこのまま寝るだけだし。明日には元気になってると思うから、大学にも行けると思う。と言う訳で、もう切るな? じゃあ……」  勇人が喋り出す前に慌てて喋ると、真琴は一方的に電話を切った。  あのまま切らずに話していたら、勇人がお見舞いに行く事を主張し始め、一人暮らしをしている真琴の家に乗り込んでくる流れになっていただろう。  最初にやんわりと断った時に、勇仁が素直に「分かった」と返さなかった所で気づいて良かった。話の流れからまずいと判断した真琴は、わざと遮ったのだが、それは正解だった。 「はぁ……」  とりあえず、今日の所は勇仁と会わずに済みそうだ。しかし、咄嗟に明日は大学へ行けると言ってしまった事を、真琴は今更ながらに後悔をしていた。  電話でのやり取りだけでもあんなに動揺してしまったというのに、一日経って気持ちが切り替わるとは到底思えない。  明日はどんな顔をして勇仁と会えばいいのだろうか。  不安しかない感情に侵されながらも、考える事を放棄した真琴は、再び布団を被って目を閉じた。
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