745人が本棚に入れています
本棚に追加
心の準備が何も出来ていない状態で、真琴は大学へ向かっていた。
「はぁ……」
今朝から気が付けばため息を吐いていて、今ので何回目になるかなんて、既に数えられなくなっている。
昨日は布団を被り直してから直ぐに寝てしまった様で、次に目が覚めた時は朝になっていた。
起き上がって身体に鈍い痛みを感じた瞬間、また色々と思い出してしまった。しかも、今日は大学へ行くと約束した手前休むことが出来ず、真琴は朝から憂鬱な気分になった。
勇仁との事は当分の間、真琴にとって悩みの種となりそうだ。気は重いけどいつまでもジッとしていられないと思って、浴室へ向かいシャワーを浴びる。
昨日、自宅へ帰ってくるまでの間、ずっと痛みを我慢していた所為か、今日はまだマシだと思えた。
温度を少しぬるめに設定したシャワーを浴びて、真琴は身体を洗いながら痛みを訴えてくる個所にも触れてみた。歩いたりする時はあんなに痛むのに、軽く周りを触れただけだとそんなに痛みはこない。
本当は指で中まで探って確かめた方がよさそうだが、いまいちそこまでする勇気が持てずに止めておいた。
大体、こんな所に本当に入ったのだろうか。想像するだけで震えが走る。
考え始めると深みにハマるだけのような気がして、真琴は余計な事を考えずに全身を洗い終えた。
着替えてから大学へ行く準備を済ませると、後は出かけるだけとなった。大学へ行く前に、ふとゴミだけ出しておこうと思い立つ。
早速実行しようとして、玄関のドアを開けて外に出た。その瞬間、真琴はドアノブに何かが掛けられているのに気付く。
最初のコメントを投稿しよう!