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 そう考えると、真琴の心に圧し掛かっていた重みが取れていく気がして、足取りも軽くなってきた。 「あ、まこ」 「っ……!?」  真琴の中で上手く気持ちの切り替えが出来そうだと思っていた所へ、背後から聞き覚えのある声が聞こえてきて、ギクリとした。  声を聞いた時点で、振り向かずとも自分を呼んだのが勇仁だと分かって、真琴は肩を僅かに震わせた。 「まこ、風邪は大丈夫か?」 「へっ……?」  直ぐに追いついてきた勇仁が真琴の隣に並び、体調の心配をしてきた。  風邪気味だと言って休んだのだから、勇仁の言動は普通だ。なのに真琴は、ちゃんとした返事が出来ない。  そんな真琴を見てどう思ったのか、勇仁はいきなり顔を近づけて、覗き込んできた。急に縮まった距離に、心の準備が出来ていなかった真琴は、目を逸らす事しか出来なかった。 「う、うん……だい、じょうぶ……」  動揺したままの真琴は、ぎこちなく返事する事で精一杯だ。 「おい、まこ……顔色良くないんじゃねぇの? 顔逸らすな。もうちょっとこっち向けよ」 「えっ、ちょ……」  今すぐ逃げ出したいと思っている気持ちなど分かる訳もなく、勇仁は真琴の顔色が良くない事を気にしていた。  せめて目を合わす事からは逃れたいと思って、顔ごと逸らしていた。それを見て、勇仁が不満を漏らしながら真琴の顎を掴み、自分の方へと強引に向けさせた。  急な事で、真琴は一切抵抗する事が出来ず、そのまま勇仁と目を合わせてしまった。  これはもう、気まずいを通り越して、なんとなく恥ずかしいと思ってしまう。
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