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ラブホで目覚めた勇仁が、真琴と二人でベッドに寝てる姿を見れば、驚きすぎて真琴を叩き起こしたかもしれない。
もしかすると、動揺のあまり真琴が見た事も無い表情を浮かべて、必死に「違うんだ」と何度も弁解とかしただろうか。
そんな勇仁の姿を想像して、真琴は思わず笑ってしまった。
慌てて自分に謝り倒すとか、勇仁に限ってはあり得ない。想像しただけでも笑ってしまうぐらい、普段の勇仁とのミスマッチさだ。
もう二度と、あんな状況になる事は無い。
けれどもし、あれに近い状況が起こったとしたら、その時は動揺する勇仁の姿を動画に収めるのも悪くなさそうだ。
そんなくだらない事を考えているうちに、真琴の元へやってきた睡魔から、気付けば意識を手放してしまっていた。
「んっ……」
ぐつぐつと何かを煮込んでいる音がした。その音でぼんやりとした意識から真琴が目を覚まそうとすれば、今度はふわりと香る出汁の匂いが鼻を掠めて目を開く。
「あれ……」
自宅で寝てた筈じゃ……と、寝起きでぼけてる思考になっていた真琴は、視界に入ってくる物に違いを感じて首を傾げた。
これはどう考えても、自宅の光景ではなかった。
「あ、まこ。起きたか?」
「あっ……!」
ここは何処なんだろうと考えて寝返りを打っていると、急に声を掛けて来た人物を見て、心臓が縮み上がりそうになった。
「おはよ」
「お……はよ」
寝ている真琴の上からひょこっと顔を出した勇仁は、笑いながら挨拶してきた。
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