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 初回の講義で、真琴の近くに座っていた勇仁とグループを組んだのをきっかけとして、それからよく話す様になった。  勇仁は、同性の真琴から見ても悔しい位にイケメンだ。  キリッとした眉が特徴的で、全体的に凛とした男らしい印象を受ける。その外見を裏切る事無く、勇仁の態度も堂々としたもので女の子からの人気も高そうだと思った。  その一方で、見た目通り自分本位な性格の持ち主でもある。これはやりとりが増えていく内に分かった事だが、基本的に勇仁は自分の意見を曲げる事は滅多に無い。  真琴が感じたイケメンのマイナスポイントはそこだったが、勇仁と一緒にいる友人達にとっては、マイナスになっていない事が分かった。  確かに、別の見方をすれば押し通して人を巻き込んでいくタイプなので、一緒に居て飽きる事はないだろう。それを理解していれば、勇仁が自分の意見を主張する時は、少し目を瞑ってこちらが先に折れれば円満にいく。  選択科目の時に限らず、大学で真琴の姿を見かければ、勇仁から声をかけてくる様になった。そんな機会が増えていくにつれて、気付けば真琴も勇仁達と一緒に行動する様になっていった。  とはいえ、大学に居る時間中という訳ではなく、同じ講義を取っている時や、昼食の時だけだったが。  勇仁の短所が見えて、周りがそれをどう捉えてるのかも分かるぐらいに真琴も馴染むと、長所にも気づくようになった。  勇仁が意見を曲げない事で嫌われないのは、所々で気遣いが出来ているからだと思った。  以前、真琴との間に意見の食い違いが起った時、勇仁は自分の意見を通してきたのだが、その後にフォローが入った。  それは些細な声かけ程度だったけど、こういう所も女の子にモテるポイントだろうと思った事があった。
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