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「春木君、お疲れ様。今の時間帯は、お客さんはどんな感じ?」  真琴のバイト先は家の最寄駅にあるカフェで、駅前にあるわりにはのんびりと接客が出来る店だった。  大きな駅と比べて人通りが少ないから終始忙しくないものの、それでも時間帯によっては混みあって忙しくなる事もある。 「少し前は混雑してましたけど、オレが休憩入る直前ぐらいからは少し落ち着いてきてましたよ」 「そっか、有難う」  真琴より学年が一つ上の砂川は、真琴がこの店で働き始めた時には既に居て、教育係として色々と教えてくれた。  その流れもあって、教育係から外れても砂川とシフトが一緒になる事が多かった。  砂川が就職活動に向けて積極的にインターンシップを受ける様になってからは、シフトが変わってしまい、一緒に入る事がほとんどなくなった。こうして砂川の顔を見たのも、久しぶりな気がした。  前回バイトが一緒だった時は、ちょうど砂川がインターンシップに行き始めた所で、企業から出される課題について頭を悩ませていた。  砂川から聞く就活関係の話は凄く勉強になる半面、真琴も彼女と同じ様に積極的に活動出来るのかと不安に思う事もあった。 「砂川さんの姿を見るの、久々ですね」 「確かにね。私が入る日数減らしたし、曜日も変わってるから、春木君と被る日も少なくなったよね」  身長が百六十センチを超えている砂川は、女性にしては背が高い方だ。それに性格もサバサバしている為、男性の真琴から見ても格好いいと思える女性だった。 「また今度、色々と話し聞かせてください」 「そうね。もう少し落ち着いてから、バイト終わりに軽くご飯でも行きましょうか」
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