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 勇仁の事だから、もしかすると真琴にとっていい人が現れる様にと、背中を押す目的もあったのかもしれない。 「春木、騙されるなよ? 勇仁がそこまで気を回せるわけねーじゃん」  真琴がいいように解釈しようとした所を、あっけなく打ち消したのは染谷だった。 「そめやん、ハッキリ言いすぎ」 「だって、そうじゃん。勇仁が誘われた飲み会に誰か連れてこいって言われて、断らない春木を連れて行ってるだけの話だろ?」  染谷が話したのを聞いて、真琴も妙に納得してしまった。考えてみれば、勇仁がそこまで真琴に気を回す必要はない。 「なんだ、そっか」  結局は勇仁にとって自分は、都合のいい飲み会要員だったという訳だ。 「まこ、何でそめやんの言った事に納得してんだよ。違うって! 俺は……」 「勇仁の気持ちは分かったって。別にオレは、都合のいい飲み会要員として誘われてたって、気にしないから」 「あー、そめやんが変な事言うから、まこが誤解しちゃってんじゃん」  くそっと舌打ちしながら、勇仁は頭をかき乱していた。  誤解だと言っていたが、真琴が解釈した事と何処が違うのかよく分からない。 「勇仁、それはな、普段からのお前の関わりってやつだ。俺の所為にするのは違うぞ」 「違わねぇよ。とりあえず……俺は都合いい飲み会要員とかで、まこに声をかけてる訳じゃないから! そこだけは勘違いするなよ?」  染谷とのやりとりがあった後、勇仁が真琴に向けて宣言をした。  勇仁の言葉を素直に受け取るとしたら、やはり自分が最初に推測していた意味も含まれているのだろうか。だとしたら申し訳ないと思い、とりあえずお礼を言った。
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