【3】

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 なんて言おうか少し迷っていただけなのに、その様子を見て同意の意味で捉えた勇仁を見て、若干呆れながら返した。  普段、こんな些細な事に気にも留めないし、覚えてもない勇仁が、こうも敏感に反応するのを見ると流石にどうしたのかと心配になってしまう。  絶対に違うと思うが、自分よりも先に真琴に彼女が出来たとしたら、先を越されて悔しい思いはしたくないとでも考えているのではないだろうか。  その気になれば勇仁に彼女なんて直ぐ出来るから、それは無い事は分かっている。  勇仁が何を気にしてるのかは分からないが、もし本当に彼女が出来た時は、直ぐに報告しようとこっそり思った。 「そっか、そっか。普段は飲み会で意識を無くす事なんてないんだけど、あの日だけは直ぐに酔って記憶なかったからな。俺だけじゃなく、まこもいい思いが出来たのかと思った」 「まさか。勇仁と違って、オレはモテないからな。それはないって」  冗談っぽく言っている勇仁に乗っかっても良かったのだが、さっきまでの勇仁の反応を見た後では、それは出来なかった。  ここは無難に返しておこうと思って、真琴は真面目に答えた。  事実として、勇仁や染谷の様なイケメンであれば、放っておいても女の子側から寄ってくる。  そんな二人と比べて地味でいい人どまりの真琴は、女の子からアプローチされるという経験など一度もなかった。頼みごとで、寄ってこられた事ぐらいならあるが。 「そうか? まこは、モテると思うけど」  分かりきってる事だろうに、フォローのつもりなのか、勇仁がそんな事を言ってきた。 「バーカ。イケメンの勇仁に言われても、嬉しくも何ともないって」  とりあえず、この話はこれで終わりだという様に、釘をさしておくつもりで返す。
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