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 目を輝かせながら『まこ、凄いな』と褒めた後、美味しそうに食べていた。簡単に作ったものだったのに、ここまで喜んでもらえると真琴も悪い気はしなかった。  外食だったら、テーブルを挟んで人とご飯を食べる事はあった。勿論、勇仁もその内の一人で、大学の昼食に限らず講義受けて帰るだけの時とかに、よくご飯に誘われていた。  しかし、こうして自宅に人を呼んで自分が作った料理を一緒に食べるというのは、真琴にとっては今回が初めてだった。  いつもと違う光景に違和感は感じたものの、それでも人と一緒にご飯を食べるのはいいなと思った。  ご飯を食べ終えた後、『片付けは俺がする』と勇仁が自ら言いだしたので、その言葉に甘えて頼む事にした。  その間に真琴は、風呂に入る準備をして先に入らせてもらう事にした。  夏場の今はシャワーで手早く済ませる事が多いのだが、今日は気疲れした事もあって、浴槽にお湯をはる事にした。  湯船に浸かるのは久々で、入って暫くすれば自然と身体の疲れが取れる気がした。  ふぅーと長い息を吐くと、緊張が解れるだけでなく、勇仁との共同生活で重くなっていた気も軽くなっていった。      いつもより少し長めに入ったお風呂から出ると、交代で勇仁を浴室へ向かわせた。  その間に、今度は寝る用意をしようとして、真琴はクローゼットから布団を引っ張りだした。  広い部屋じゃないので、布団を敷くともう寝るしかなくなるのだが、今日はもう何もする事はないだろうから問題はなさそうだ。 「まこ、サンキュー」
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