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「あのな、そこまでするぐらいなら、オレは布団を敷く方がいい」
「まこが冷たいんですけど」
「誰でも同じ事言うと思うんですけど」
少しだけ相手をすれば、直ぐに飽きて話題を変えてくるだろうと思っていたが、意外にも勇仁が寝る場所の話題を引っ張ってくる。
段々どう返せばいいか分からなくなってきた真琴は、返しがつい冷たくなってしまった。
「俺だって他の奴とは嫌だけど、まことなら全然いいな」
「あー、はいはい。とりあえず、明日もあるから寝るぞ」
勇仁の爆弾発言は止まる事なくエスカレートする一方だった。このままではまずいと思った真琴は、無理に話を切って電気を消した。
「あー、真っ黒だ。これは寝るしかないな。まこ、おやすみー」
「ああ、おやすみ」
挨拶を交わした後、勇仁が喋らなくなったので急に部屋が静かになった。
暫くすると勇仁の寝息が聞こえてきて、どれだけ寝付きがいいんだと驚いてしまった。
視界が真っ暗になっても、真琴の方はなかなか眠気がやってこない。
きっと目が冴えてしまった理由は、勇仁が最後に言った思わぬ発言に、真琴の心が乱されたからだ。
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