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 しかし、最初に抱いてた古森の印象が変わったのは、ゼミで懇親会が開かれた時だった。その会では、古森が率先して後輩である自分達に関わりにきてくれたので、外見に反して面倒見が良く、話しやすい人だと思えたのだ。 「あ、そうそう。先輩からオススメって言われてDVD渡されたから、夜に一緒に見ようぜ」  それにしても同じゼミとはいえ、あまり接点がない先輩とよく物の貸し借りが出来るぐらいに仲良くなれたなと思った。  勇仁の社交性に改めて感心していると、その本人は先輩から借りたDVDが入っている鞄を、嬉しそうに軽く叩いていた。 「へぇ……何の映画?」 「さぁ?」  オススメと言われたのに、内容は聞かないまま借りたらしい。  首を傾げた勇仁を見て、そういえば一緒に映画館へ行った事がないし、誰かと見たという話も聞かない事に気付いた。  真琴も頻繁に映画を見る方ではないが、それでも話題作で気になった物は見たりする。  そんな真琴よりも勇仁は映画に興味がなさそうだ。好きすぎるあまり、内容の好き嫌いが激しいタイプよりはいいが、逆に見ている途中で飽きて、寝てしまわないかだけが心配だった。 *** 「よーし、後はセットして見るだけだ」  家に着いた真琴と勇仁は、お腹が空いたのでとりあえずご飯を食べ、その後は交代で風呂に入った。  後はもう寝るだけとなった状態で、古森から借りた映画の観賞会を始めようとしていた。
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