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帰る途中で買ったつまみとお酒を床の上に置き、ベッドを背もたれにして勇仁が寝る布団の上に二人並んで座った。
「どんな映画だろう?」
「まこ、嫌いなジャンルあったっけ? 多分、ホラーじゃないと思うんだけど……って、あー、これ……映画じゃねぇな」
「え? どういうことだ?」
プレイヤーの側に近付いて先輩から借りたDVDを取り出した勇仁が、ディスクの表面を見た瞬間、動きを止めるとともにそう言った。
一体、何を見たんだろうか。
言われた意味が分からず、真琴はジッとディスクの表面を見ている勇仁に近付き、手にしている物を覗きこんだ。
「あ……それ……」
目に入ってきたのは、胸を強調したポーズをとっているお姉さんと、いかにもなタイトルが書かれてあった。どうやら勇仁が古森に渡されたのは、映画ではなくAVだった様だ。
「映画じゃなくて残念だけど……折角だから、見るか?」
「え……?」
映画じゃないと分かって、観賞会は中止となる筈だった。なのに、勇仁から意外にも鑑賞会を続行させる様な問いかけがやってきて、真琴は慌てた。
「まこだって、こういうの見た事あるだろ?」
「それは、まぁ……」
高校の時に友人から回って来て、興味本位で何度か見た事はあった。その時も鑑賞会が開かれていたが、こういう物を誰かと一緒に見る気にはならなくて、誘われたけど断っていた。
それは今でも同じだし、ましてや相手が勇仁となれば尚更のこと遠慮したい。
「じゃあ、いいじゃん。見ようぜ」
「あ、ちょっと……」
何とか阻止をしなければと焦る真琴の気も知らず、勇仁はあっさりとDVDを入れてしまった。
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