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「まこ? どうかしたか?」 「いや、あの……き、昨日は、その……」  喋りづらそうにしている真琴を見て、少しは察しろよと思いつつも、勇仁に期待しても無駄だと踏んだ。諦めて真琴は、しどろもどろになりながら自ら切り出した。  元々は勇仁が古森先輩から借りてきたAVの鑑賞を止めようとしなかったから、ああいう事になった。  とはいえ、勇仁の手の中で達してしまっただけでなく、先に寝てしまった事のお詫びをしたい。そんな気持ちから、真琴は本来ならば避けたい話題を自ら出す事にした。 「あー、あれな。生理現象だし、まこが俺の手でイッたからって、気にする事ねぇよ」 「ばっ……!」  躊躇いながら話題にしたというのに、勇仁が直ぐにあけすけない物言いをしたので、真琴は酷く動揺してしまった。 「まぁ……AV女優よりまこの方が、エロかったけどな」 「ゆ、勇仁っっ!」  更に続けて言われた言葉で、過敏に反応した真琴は、叫ぶようにして名前を呼んでしまった。 「悪い悪い。まこがいい反応するから、揶揄いすぎたわ」  このやりとりが続くのを避けたくて、勇仁の口を封じようとしたが、宥める様にポンポンと頭を叩かれてしまった。 「なんだよ、それ……」  子どもみたいな扱いをされて素直に受け入れられなかった真琴は、少し不機嫌な口調でそれだけを言った。 「まこ、拗ねんなって」 「拗ねてなんか……」  会話を続けながら真琴は、はたと思った。これではまるで、痴話喧嘩みたいなやりとりではないかと。
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