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本来なら、久々に部屋で一人になれて、安心する筈だった。それが今の真琴は、全く気が休まらなかった。
何故だか勇仁の事ばかり考えてしまって、落ち着かないのだ。
例えば、今日勇仁の時間潰しに付き合って、一緒に飲むかも知れない人は、どんな人物なんだろう……とか。
交友関係が狭い真琴と違って、勇仁には多くの知り合いや友人がいる。
知り合った時からそれは分かっている筈なのに、今は自分が知らない勇仁の知人について、上手く受け入れられない事に気付く。
今まで気にもしなかった事を気にする様になった自分の変化に、真琴は戸惑った。
きっとこれは、一緒に生活する様になってずっと行動を共にしているから、離れてる時の行動が妙に気になってしまうだけだ。
そう考えた真琴は、これ以上勇仁との距離を縮めないようにしようと思った。でなければ、今以上に勇仁の事が気になって悪化してしまう。
自分で言った手前、二週間は途中で投げ出さず、勇仁を泊める約束は守るつもりでいる。
水道の修理が終われば勇仁も安心して自宅に帰れるし、この共同生活が延長される事はないだろう。
あと、一週間と少し。
それまで何とか平穏に過ごせますように……。
そう真琴が願ったタイミングで、設定していた携帯のアラームが鳴った。
あまり寝た気はしないが時間がきてしまった為、真琴は渋々と起き上がって大学へ行く準備を始めた。
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