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「あ、春木君、お疲れ様ー」 「お疲れ様です。砂川さん、久しぶりですね」  切らした備品を取りにスタッフルームへ行くと、バイト着に着替え終えた砂川が居た。  砂川とはバイトに入るシフトが違っている為、顔を合わせるのはこの前の休憩時間にここで話した以来だった。  本来なら今日、真琴はバイトに入る日じゃなかった。人手不足になった為、イレギュラーで急遽入る事になったのだ。  店長から言われたのは、真琴のバイト終わりまで一時間待つと勇仁が言っていた二日前の金曜日だ。  あの日、バイト先へ行ったら直ぐに、店長から日曜にバイトに入ってくれないかと頼まれた。  どうやら日曜のバイトに入る予定だった人が足を怪我してしまったらしく、暫く安静ということで急遽休みの連絡がきたそうだ。  日曜のバイトを受ければ三連勤となってしまうのだが、今の真琴にとっては有難い申し出だった。  バイトに入れば勇仁と家で過ごす時間が少しでも短く出来る。そんな思いから、真琴は快く引き受けたのだ。 「なんか、このやりとり毎回だよねー」 「確かに、そうですね」  バイトに入ったら入ったで、今日は砂川と同じだと分かって、少し安心した。  砂川は慣れているだけあって、いつも先読みして動いてくれる。一緒にバイトに入ると、とてもやりやすい相手だった。逆に、自分の方が砂川にとっては、足手まといなのかもしれないが。  今更そう思っても、元々砂川は真琴の教育係だった為、入りたての時から知られている。砂川には失敗してる所ばかり見られているので、昔より多少は成長していると思ってもらえたらいいなという所だ。 「あ、そうだ。春木君、今日はバイトの後って、予定ある?」
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