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裕也は大丈夫だろうか。
私は胸騒ぎがした。
すると、裕也が結界を張った部屋から出てきて、私の目の前に立った。
「裕也?だめじゃない。結界の中にいないと。」
「クソババア!」
そう裕也が叫ぶと、私の顔を拳骨で打ち据えた。
「死ね!死ね死ね死ね!」
そう言うと、嵐のように暴力を振るい、おなかを踏みつけてきた。
しまった!結界が壊れたか!シアエガの力が強大になりすぎて、裕也を支配してしまった。
「ごめん・・・裕也。ごめんね。」
私は荒れ狂うシアエガによって支配された裕也に詫びた。
裕也、おばあちゃんはお前をついに、守れなかった。ごめんよ。
****************
最悪だ。この世の終わりだ。
俺は、今、目の前の光景を信じられない面持ちで見ている。
血まみれになったばあちゃん。
これは紛れも無く、俺のやった所業だ。
「ばあちゃん・・・。」
小さく呟いてみるが返事は無い。
口からはおびただしい血が流れている。たぶん内臓が破裂している。
鼻に手をかざす。息をしていない。
震える手で、スマホを操作して、父親の携帯に電話する。
やはり出ないか。仕事中は、出られないよな。
俺は、押入れから掛け布団を出すと、祖母の遺体に被せた。
そして、母の入院している病院へ向かった。
「あら、裕也、どうしたの?」
母が痛々しい包帯だらけの顔をこちらに向けた。
「・・・殺した。」
消え入りそうな声で俺は呟いた。
「え?なに?」
「俺、ばあちゃんを殺した。」
包帯の間から出ている母親の顔が青くなり、目がみるみる見開かれた。
「ど、どういうこと?」
母が声を潜めた。
「母さんをこんな目に合わせたばあちゃんが許せなかったんだ。だから・・・。
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