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俺は大のおばあちゃんっ子だった。
ばあちゃんはいつも優しくて、俺達男兄弟3人をいつも可愛がってくれた。
俺は末っ子で甘ったれでいつもばあちゃんにべったりだった。
きっかけはそんな大好きなばあちゃんを独り占めしたいという、幼稚な考えだった。
公園で兄の雅史や和人とばかり遊んでいるのを嫉妬したのだ。
「おばあちゃん、あそこからこわいおばちゃんがにらんでるの。」
そう言ってばあちゃんの袖を掴んだ。
そうすると、おばあちゃんはとても心配そうに俺を抱きしめてくれたのだ。
俺はそれが心地よくて、しょっちゅう嘘をついておばあちゃんに抱きしめてもらった。
それがこんな事態を招くなんて夢にも思わなかったのだ。
ばあちゃんはどうやら、俺を霊感の強い子だと勘違いしたらしく、とある宗教に入信してしまった。
それもこれも、俺を救うためだ。俺は子供心に嘘をついて悪いと思った。
だけど、今更嘘だとは言えない。
それからというもの、ばあちゃんは事あるごとに、俺に悪霊がついていると言っていろんな除霊を施した。
聖水をまいたり、塩をかけたり。結界を張って、俺を真ん中に座らせたりした。
最初のうちは、面白半分で付き合っていたけど、そのうちにだんだんとばあちゃんの行動はエスカレートした。
もちろん、俺だけではなく、兄達や父や母にも、除霊と称していろんなことをした。
正直、家族はウンザリしていた。ばあちゃんが言うには、シアエガという邪神が復活するから結界を張ると言っては、家の周りに聖水をまき、塩をまき、おかしな呪文を唱えながらぐるぐる回るのだ。
それは奇行にしか見えず、近所からは変な目で見られた。
「おかあさん、やめてください。」
よく母がそうばあちゃんをたしなめた。だがまったく聞く耳は持たなかった。
俺が中学一年生の時に、放課後、友人三人とこっくりさんをした。
その時の一人がこっくりさんに取り憑かれてしまったのだ。
10円玉が物凄い速さで盤上を回りだし、「〇〇をころす」と言ったのだ。
その友人は泣きながら俺に助けを求めた。お前のばあちゃんなら、除霊してくれるんだろうと。
俺達3人は、ばあちゃんに頼んでその友人を除霊してもらうことにした。
奇声を発しながら、ばあちゃんはその友人の周りをグルグルと回り、塩をかけ、聖水をかけた。
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