彼氏だけど彼氏じゃないっ！

なんか変っ！

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「失礼しまーす」

　小声で言った挨拶は騒めきの中に吸収されてしまった。職員室とはいえ結構生徒の出入りが激しいので、それを気に留める先生は有り難いことに一人もいなかった。担任がいる机までそっと足を忍ばせる。

　担任の事務机の前に先生と駿、そして尾野が並んでいて、三人は机の上を覗き込んでいた。

「テストの答案を見せびらかすのは良くないとは思うけど」

　話がちょうど始まったらしい。みんなあたしに背を向けているのであたしはこっそり駿の後ろについた。

　机の上にはコピーされた二枚の答案用紙が並べられている。

　一枚は駿の数学９０点の答案用紙。もう一枚は尾野の数学１０点の答案用紙。尾野の答案は白紙って聞いていたけど、所詮は噂。申し訳程度に回答がまばらに記入されていて、書いたうちの半分が正解している形だ。