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尾野に連れてこられたのは、人気のない屋上だった。人気がないのは当然だ。もうすぐ授業が始まる。あたし達は完全にサボりだ。
「優等生がこんなところに何の用?」
やっと離された手を腰にあて、威圧感を醸しながら追及する。でも尾野は全く怯んでいなかった。
「ほんとーーに、気付いてないのか?」
「気付くって何に? 確かに今日のあんた様子がおかしいけど」
「もう一人おかしな奴がいるだろ」
「え?」
無意識にあたしは後ろを振り返っていた。迷子の子猫みたいに距離を置きながらあたし達を追って来た駿。今なお、あたしに近付こうとはしない。
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