駿が尾野で、尾野が駿で

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「えー、じゃあこれからどうするの? 」 「どうするもなにも……どうにもならねぇな、これは。とりあえずこのまま過ごすしかないだろ」 「あ、二人で頭ぶつけるとかどう?」  漫画でお決まりの解決策を提案するも、 「もうやった」  冷たい返事が返ってくる。てかやったんだ。 「じゃあキスしてみるとか!」 「平然となに言ってんだ! 出来るわけねぇだろ!」  ひとしきり怒られた後、 「そもそも、なんの前触れもなく入れ替わったんだ。戻るきっかけなんて案外ないのかもな」  駿がそう面倒臭さそうに言う。それなのに、見た目が尾野だとなんだか頭脳派みたいに聞こえる……。 「本当にきっかけないのかなぁ。戻る前って言ったら……夏休みの最後の日? あたし達会ったよね」 「カラオケのやつなー。それがきっかけ? 特に何もなかっただろ」  確かに。それにカラオケにはあたしや和斗もいた。きっかけがあの日なら、この二人にだけ異変が起こった理由はなんなんだろう。
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