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余りにもクール過ぎたからである。
俺は、ガッついた感じのしない理想の自身を目指す余り、それを徹底し過ぎてしまったのだ。
そして、その結果....俺は自分にしか興味の無いナルシストだとか、男にしか興味が無いBL野郎だとか....そんな何の根拠もない噂をされるに至ったのである。
こうして俺の青春は....いや、平凡なる高校生活は、終わりを向かえたのだ。
別に俺が悪い訳ではないのに....。
噂とは、無責任で残酷なものである。
斯くして、俺の人生は童貞、彼女居ない歴々22年の結末に至った訳だ。
俺は、そんな過酷なる人生経験を味わってきたが故に、会社の同僚達とマトモに話せる会話など持ち合わせている筈もなく....。
何とか無難に会話を終わらせつつ、俺は消沈した気持ちのまま仕事を終え、帰路に着いた。
取り敢えず、顔に出さないでいるのは慣れている事もあり、恐らく周囲の人間は俺が、超ディープな状態にある事は気付いていなかったに違いあるまい。
そんな訳で俺は、少しでもリフレッシュしたい気分だったのである。
(あ....?
そう言えば、ここ近道できるんだっけか?)
俺は、幼い頃の記憶を頼りに細い路地を通り抜けた。
確か、この先には公園がある筈――?
そんな朧気な記憶を辿り....俺は足早に、その場所を目指す。
別に公園に何かがある訳ではないが、今は夕方。
この時間は人気がなく、一人で黄昏るにはもってこいと言えるだろう。
まあ、何かがある必要など無いのである。
少しでも気晴らしが出来れば....。
俺は、そんな切ない思いを引き摺りながら漸く、公園へと辿り着いた。
そして、妙に懐かしい光景が俺の目前に広がる....。
幼き頃、良く遊んだ公園――。
あの時から考えたら、町並みは近代的に変わってはいるが、この公園はまるで....時間でも止まっているかの様に何も変わらない。
(何か懐かしいな....。
あの時は良かった....。
ただ、何も悩まず無邪気に遊んでられたんだから――。)
そう....何処で間違えてしまったのだろうか、俺の人生は――?
そんな事を、ふと考え俺は思わず涙する。
考えてみれば学生時代、青春らしい青春を過ごした記憶がない。
何故、あんな学生時代を過ごしてしまったのだろうか?
(切っ掛けは何だったかな....。
何でクール路線を貫く事になったんだっけ....?)
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