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「それで、その子は?」
「流産しちゃった。ごめんね」
生まれなかった子どもを思い出したように、リンカはまた涙を零した。
「これから、その子の生まれ変わりが俺たちの所に来てくれるよ。15の俺たちは未熟過ぎたけど、今ならちゃんと親になれる。そうだろ?」
「許してくれるの?」
「許すも許さないもない。中3のおまえにすべてを背負わせて悪かった。もう全部受け止めるから。これからの人生を俺と一緒に歩いてくれないか?」
「それって、もしかしてプロポーズ?」
リンカの口が歪んで震えている。
そんな表情さえ愛しく思える。
「もしかしなくてもプロポーズ」
「ねえ、いつ気づいたの?」
「さっきおまえが記入した問診票を見て。誕生日が一緒だったから。バカみたいだろ? 知らずに俺はまたおまえに恋をした」
ワッと泣き出したリンカを抱きしめて、俺はようやく彼女を手に入れた。
END
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