第14章

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「その仮面が、ある人によって剥がされるんだ。会社なのに、俺らしくない行動を取ったりして。」 ある人? それは、やっぱり彼女の林さんの事だよね…。 「倉庫まで走って探しに行ったり、泣き止むまで頭を撫でたり。」 え? 「酔い潰れて寝てるとこを送って行ったり。」 それって…。 「あたし?」 思わず声が出ていた。 「うん。美桜ちゃんだって知らなかった、小林だよ。」 「え?だって、ヒロくんは林さんとつき合ってるんでしょ?」 あたしは聞きたくても聞けなかった事を、ようやく口にできた。 「林は、大学からの友達。彼女じゃないよ。」 「そうなの?あたし、てっきり…。」 「美桜ちゃんも勘違いしてたんだな。」 そう言うと、ヒロくんはクスッと笑った。 「みんなそう思ってるよ。広樹って呼ばれてるし。」 「あれは、大学の時は、みんなそう呼んでたからで、林が特別な訳じゃないんだ。」 林さんが彼女じゃない…。 彼女じゃないんだ。 あたしは、あまりにびっくりして、でもすごくホッとした。 .
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