第14章

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「ヒロくん…。」 「美桜ちゃん…。」 今日はヒロくんって呼んでも怒られなかったどころか、いつも『小林』と呼んでいたヒロくんが『美桜ちゃん』って呼んでくれる。 それだけで、胸が熱い。 「とりあえず、少し歩こうか。」 ヒロくんの言葉に頷くあたし。 昔と同じように、あたし達は桜のアーチの中を歩き始めた。 しばらく無言のまま歩く。 桜が本当に満開で。 2人でまたこの桜を見れた事が幸せで。 あたしの胸はいっぱいだった。 「あそこで座って待っててくれる?」 と、昔座った大きな桜の木の下のベンチを指差すヒロくん。 あたしが頷くと、ヒロくんはどこかへと行ってしまった。 ヒロくん、どこへ行ったんだろう?と思いつつ、あたしは指定されたベンチに座った。 そして、桜を見上げる。 夕焼け空に映る桜はまた幻想的で、思わず吸い込まれてしまいそうだ。 「お待たせ。」 そう言って戻って来たヒロくんの手には、たこ焼きとじゃがバタがあった。 .
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