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「ヒロくん…。」
「美桜ちゃん…。」
今日はヒロくんって呼んでも怒られなかったどころか、いつも『小林』と呼んでいたヒロくんが『美桜ちゃん』って呼んでくれる。
それだけで、胸が熱い。
「とりあえず、少し歩こうか。」
ヒロくんの言葉に頷くあたし。
昔と同じように、あたし達は桜のアーチの中を歩き始めた。
しばらく無言のまま歩く。
桜が本当に満開で。
2人でまたこの桜を見れた事が幸せで。
あたしの胸はいっぱいだった。
「あそこで座って待っててくれる?」
と、昔座った大きな桜の木の下のベンチを指差すヒロくん。
あたしが頷くと、ヒロくんはどこかへと行ってしまった。
ヒロくん、どこへ行ったんだろう?と思いつつ、あたしは指定されたベンチに座った。
そして、桜を見上げる。
夕焼け空に映る桜はまた幻想的で、思わず吸い込まれてしまいそうだ。
「お待たせ。」
そう言って戻って来たヒロくんの手には、たこ焼きとじゃがバタがあった。
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