第14章

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2人とも完食すると。 「少し歩こうか。」 と、ヒロくん。 あたしは頷き、席を立つ。 周りは暗くなり始めていて、ライトアップされた桜は、それはそれはキレイだった。 「何も聞かないんだね。」 あたしが桜に見入っていると、ヒロくんが突然核心をつくような言葉を発した。 「聞いてもいいの?」 「もちろん。今日はそのために来てもらったんだし。」 「うん、じゃあ、教えてくれる?」 「うん。あそこのベンチに座って話そうか。」 と、2人でまたベンチに座った。 「まずは、ごめんね、美桜ちゃん。」 突然謝られて、何の事かわからず首を傾げると。 「会社で会ってすぐに、美桜ちゃんだって気づかなくて、ごめんね。」 とヒロくんが言った。 「美桜ちゃんは、俺がヒロくんだって、すぐに気づいたんでしょ?」 あたしが頷くと。 「それで、美桜ちゃんは俺をヒロくんって呼んだんだよな。なのに俺、『お前、誰?』とかヒドい事言ったよな。」 あたしは何て言っていいのかわからず、とりあえず頷く。 「名字も違くて。外見も昔よりすごくキレイになってて。美桜って名前は知ってたのに、美桜ちゃんだってわかんなかったんだ。」 ヒロくんは、桜を見ながらそう言った。 .
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