第14章

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「じゃ、帰ろうか。」 と、ベンチから立ち上がろうとすると。 「ちょっと待って。」 と、腕をつかまれた。 触らないで、ヒロくん。 ドキドキが止まらなくなっちゃう…。 「ここからが、本題だから。」 「え?あたしに気がついたって話じゃないの?」 「もちろん、それも大事な話だけど。だから、もう1回座って?」 あたしはとにかく、腕をつかんでる手を離してほしくて。 よくわからないまま頷き、ベンチに再び座った。 「うーんと…。どこから話そうか。」 そう言って、ヒロくんは上にある桜を見つめながら考えている。 そんな表情も、カッコいいんだ。 「そうだね、ご褒美デートの後の話をしようか。」 そう言うと、ヒロくんは家庭教師のバイトの後のサークルの話や、そこで彼女ができた話、でもその彼女とすぐに別れてしまった話を聞かせてくれた。 正直言うと、ヒロくんの彼女の話なんて、聞きたくなかった。 でも、この後の話にどうしても必要な経過なら、聞くしかなくて。 あたしは、モヤモヤした気持ちのまま、たまに相槌を打ちながら聞いていた。 .
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