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「じゃ、帰ろうか。」
と、ベンチから立ち上がろうとすると。
「ちょっと待って。」
と、腕をつかまれた。
触らないで、ヒロくん。
ドキドキが止まらなくなっちゃう…。
「ここからが、本題だから。」
「え?あたしに気がついたって話じゃないの?」
「もちろん、それも大事な話だけど。だから、もう1回座って?」
あたしはとにかく、腕をつかんでる手を離してほしくて。
よくわからないまま頷き、ベンチに再び座った。
「うーんと…。どこから話そうか。」
そう言って、ヒロくんは上にある桜を見つめながら考えている。
そんな表情も、カッコいいんだ。
「そうだね、ご褒美デートの後の話をしようか。」
そう言うと、ヒロくんは家庭教師のバイトの後のサークルの話や、そこで彼女ができた話、でもその彼女とすぐに別れてしまった話を聞かせてくれた。
正直言うと、ヒロくんの彼女の話なんて、聞きたくなかった。
でも、この後の話にどうしても必要な経過なら、聞くしかなくて。
あたしは、モヤモヤした気持ちのまま、たまに相槌を打ちながら聞いていた。
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