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藍色の布に白い文字で
「美咲」と店名が入った暖簾をくぐると
「では、本田まどかさん。
ようこそ企画課デザイン部へ!
かんぱーい!」
尾高課長の号令の元
あちこちでお酒の入ったグラスが鳴り出した。
「ありがとうございます。
畑違いの会社からの転職ですので
中途半端な新人ですが
どうぞよろしくお願いします」
襖を全部取り払ったお座敷で
まどかは自分のグラスを持ったまま
参加してくれてる同僚に挨拶をした。
顔を上げられなくて
俯いたままでと失礼しちゃったけど。
「うちのデザイン部は
アトリエって呼ぶには貧相だけど
個室が本当だったら宛がわれるんだけどね」
課長のお隣に座る
苗場部長がまどかにお酌しながら言う。
「あ、すみません」
膝の上で組みあう手を見ていたが
慌てて部長の手から瓶ビールを受け取り
まどかもお酌のおかえしを。
お偉い様から先にお酌させてしまった。
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