本田まどか編

2/336
3318人が本棚に入れています
本棚に追加
/1652ページ
・・・・・・ 藍色の布に白い文字で 「美咲」と店名が入った暖簾をくぐると 「では、本田まどかさん。 ようこそ企画課デザイン部へ! かんぱーい!」 尾高課長の号令の元 あちこちでお酒の入ったグラスが鳴り出した。 「ありがとうございます。 畑違いの会社からの転職ですので 中途半端な新人ですが どうぞよろしくお願いします」 襖を全部取り払ったお座敷で まどかは自分のグラスを持ったまま 参加してくれてる同僚に挨拶をした。 顔を上げられなくて 俯いたままでと失礼しちゃったけど。 「うちのデザイン部は アトリエって呼ぶには貧相だけど 個室が本当だったら宛がわれるんだけどね」 課長のお隣に座る 苗場部長がまどかにお酌しながら言う。 「あ、すみません」 膝の上で組みあう手を見ていたが 慌てて部長の手から瓶ビールを受け取り まどかもお酌のおかえしを。 お偉い様から先にお酌させてしまった。
/1652ページ

最初のコメントを投稿しよう!