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息を切らしながら校舎の中を歩きまわる。
思わずピンときて部活を抜け出して来たけれど、こんな広い校舎のどこを探したらいいのか戸惑う。
いるかもしれないという好奇心と、いないかもしれない残念な気持ちがごちゃ混ぜだ。
「キラキラな人…キラキラな人…」
呟きながら保健室のドアを開けた。
ガラガラっ。
「えっ…ー」
そこで目にしたのは、保健の先生が生徒に顔を近づけているところだった。
すぐにかよの存在に気づき顔を離す。
「…あら、かわいい子来たわよ」
保健の先生が言い、横にいた男子生徒がこっちを向いた。
「はっ?」
その生徒の顔を見たかよは思わず声を上げた。
その人は綺麗な顔をして、なんだか眠そうに言う。
「あれ…面白い子だ」
そのセリフには聞き覚えもあった。
「うそ…でしょ。全然違う!あたしが会ったのはあなたじゃないっ!!」
怒った口調で言い、バタバタと足音を立てて保健室を出て行った。
急いで外に戻り何もなかったかのように作業を再開する。
「かよちゃん…?風景撮るんじゃないの?アリ撮ってどうするの」
浅海部長が微笑する。
「…そっとしときましょ。後であたしが聞いてみます」
いやいや、絶対違う。
あの時の彼じゃあない。あんなチャラチャラしていないもん。
笑った顔なら絶対見極められる。
あたしが会ったのはキラキラしている人だもん…。
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