II

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「どうですか?」 「かなり混乱してるようです。 凄い心拍数。 それに酷い脂汗です」 「問題は、ないでしょう」 「彼はどんな夢を見てるんでしょうか?」 白い衣服を着た女が 刑務官を見て、ニコリと笑った。 「同じ夢です。 自分がした事と 同じ事をされる夢。 あなたも 小さな頃、誰かに言われた経験がありませんか? もし、 自分が、そうされたらどう思うの?って 相手の立場になって考えてみなさいと…… それを、実際に経験させる。 それだけの事です」 「時間はどうしましょうか?」 「そうね、3日でいいわ。 それで十分」 頷いた白衣の青年が スイッチを捻った。 「実際の時間はほんの10分足らず。 でも…… 彼にとっては長い長い三日間の悪夢。 素行の悪い者を 他に5名程、実験させていただきます。 既に 他の刑務所でも実験済みなので 問題はないと思いますが 念の為。 これで、3カ月もすると みんな猫の子のように大人しくなります。 自分の罪の重さを身をもって経験するんです。 もう、二度と 犯罪を犯すこともないでしょう。 ええ。 次の実験の場所も、もう決まってます。 この機械を世に送り出す 準備は整ったわ」 女の医師は 刑務官を見て、もう一度ニコリと笑った。 ーーー完ーーー
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