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意を決して来たのに雅臣の前に立った私は
何も言えずにたちすくむ
「うん?」
ため息とともに彼の胸に飛び込んだ
「え…………綾乃?」
しどろもどろになる雅臣の背中に手を回し
ギュッと抱きしめた
「春美」
ドアの所で春美くんを呼ぶナオの声が
かすかに聞こえていた
「うん」
すぐとなりで立ち上がった春美くん
パタンとそっと閉まったドアの音が聞こえた
おそらく数秒くらいしか立ってはいないのだろう
「綾乃」
静かな雅臣の声が頭の上から落ちてきた
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