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「だから言ったでしょ?」
「そうですね」
聞いてくる槙に対し、平然と答える。すると、その対応が意外だったのか、彼女は眉根を寄せた。
「結構普通の反応ね。つまんなーい」
「あなたの遊び道具になるつもりはない、ということですよ」
それに、自分の悦楽のために他人を貪る人間も、生活のために体を売る人間も、アメリカでは珍しくなかった。ペンシルベニアはけして治安のいい土地ではなかったので、尚更だ。
そんなことを言いに来たのか、と溜め息を吐くと、突然槙は給湯室に自分を引き入れる。
「?何を」
するんですか、という続きの言葉は彼女の真剣な表情にさえぎられる。
そして、そのまま槙は海を給湯室の奥に押し込んだ。
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