真相

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「で、何だったんですか?今の茶番は」  安心したようにわざとらしく息を吐く槙に問うと、彼女は好戦的な視線を向けた。 「あのさ、分かってるくせに聞くの、止めてくれる?」 「何がでしょう?」  眉間に皺を寄せる彼女をあしらうように涼しい顔をしていると、彼女は溜め息を吐く。 「四年前、院長の夫である、前院長が亡くなったの」  ・・・  いきなりそんな話をされても困るが、真剣な表情の彼女の言葉に口を挟む気にはなれなかった。 「で、その時資金繰りも苦しくなって、困り果てた現院長に手を差し伸べたのが、今の政治家先生、ってわけ」 「その代償が、愛人関係ですか」  肩を竦めて言及すると、槙は苦笑いで応えた。 「くだらない」 「その『くだらない』ものに守られている貴方が言うセリフじゃないわね」  
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