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「は?」
思わず顔を顰めると、呆れたような目線が飛んでくる。
「貴方を病院に雇う時、何も反発がなかったと思ってるの?」
「それは・・・」
あって当然だろう、とは思う。自分がこの病院のスタッフだとしたら、素性の知れない外国人を雇い入れる気にはなれない。
「その反発勢力を収めるために、院長も日生ちゃんもけっこう動いてたみたいだしね」
「・・・」
「貴方は日生ちゃんのことを嫌ってるみたいだけど」
それだけ言うと、槙はポケットから煙草を取り出し、コンロの上の換気扇を回し始める。
コンロのつまみを回し火を着けると、煙草の先端を火に近づけた。
そのまま、彼女はそれを口に咥える。
ゆっくりと息を吐き出すと、呆れたような目をこちらに向けた。
「いろいろと事情があるんですよ」
「事情ねぇ」
何も知らないであろう彼女に苛々した声をぶつけるが、彼女は顔色一つ変えずに呟いた。
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