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「...あなたはどこまで知っているんですか?」
自分の過去を鏡に映したような、日生の過去。目の前の彼女が、どういうつもりでそれを話したのか、疑心暗鬼に捕らわれた自分には分からなかった。
が、彼女は相変わらず読めない表情でこちらを見ている。
「別に、貴方に何があったかなんて知らないわ。ただ、何も知らずに日生ちゃんを毛嫌いして、それを態度に出している子供っぽさにムカついただけ」
「子供って...」
「そう言われたくないなら、愛想笑いの一つでも覚えたら?医者なんて、所詮客商売なんだから、今のままじゃ、クレームがつくわよ」
そう言われてしまえば、反論の言葉も出ない。
彼女の言っていることは正論だから、いちいち耳に痛かった。
年下の日生に、ここまで守られておいて
彼女の言葉を反芻すると、自然と溜め息が出る。次いで、口元には笑みが浮かんだ。
「確かに、そうですね」
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