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何なんだ、一体
内心溜め息を吐きながら、院長室のドアの前に立った。
「-っ、あ・・・。ダ、メ・・・」
・・・
呆れた心境で、ドアを叩こうと伸ばした手を止める。
扉の向こうから漏れ聞こえるのは、明らかに女の嬌声だ。
『今は行かない方がいいよ』
脳裏の隅で、先程の槙の言葉が蘇る。あの忠告は、こういうことか。
くだらない
内心そう溜め息を吐くと、構わず扉をノックする。
「院長、碧(みどり)です。入ってもよろしいですか?」
ガタッ、と
扉の向こうで物音がした。
「・・・十分後、また来てくれるかしら」
「承知しました」
無感情にその言葉を返すと、そのまま、もと来た廊下を戻る。
さて、どこで時間を潰そうか
ぼんやりとそう思いながら、階段へと続く回廊を進むと、給湯室の前に、槙が待ち伏せていた。
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