第3章 始まりの雨

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「それが…スバルと  叔父さん、なの…」 未捺の首には無雨神に 代々伝わる黒々しい石の 首飾りが渡されスバルが 力強く未捺の震える 肩を抱きしめた。 「みなつ、黙っててごめんね…」 お母さんの瞳から蛍光灯の光を受けた鈍い銀色の粒がやむことなく溢れだす。 未捺とスバルが触れ合う腕と肩、 胸や指先までも震えを伝えていた。 「未捺…原崎の名は別名、朧…  無雨神を継ぐ家系なんだよ。」 スバルが強く抱きしめると 未捺の鼻の奥までじーんと 熱い涙が最初に落ちる。 そして歯止めが聞かなくなり、 わんわんと泣いた。 その涙は叔父の生存を安心したのと同時に無雨神であることに不安になった涙でもあった。
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