第3章 始まりの雨

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それから10分も経たない内に 外はどしゃ降りになった。 家の中からでも聞こえる。 「もうひとつ、無雨神の未捺に言わないと…あのさ、この雨はまだ普通だろ?」 「うん…まだ?」 「灰泥雨には、前触れがあるんだ。  どしゃ降りでしかも、長い雨。」 長い雨と聞いてお母さんと お爺ちゃんが慌ててテレビをつける。 丁度、バラエティーに 切り替わる前の 天気予報が映っていて中継で 20代くらいの男性キャスターと スタジオにいるメインキャスターであるおじさんが険しい顔つきでいた。 『今現在の天気ですが、とても長い間降る雨ですね……えーとここ一週間の降水確率は、』 激しい雨を背景に穏やかな表情で 淡々と話すキャスターに カメラが乱れたかと思うと スタジオから怒声がした 『おいっ!それは灰泥雨の  前触れじゃねぇのか!!?』 メインキャスターだ。 スタジオから わずかな悲鳴が上がり 天気予報がすぐさま、 緊急放送へと切り替わった。
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