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昔、未捺の家によく遊びに来る
親戚の男がいた。
古い着物をいつも着て、
お土産とたった1つの昔話を
聞かされていた。
「これ、ミナちゃん…昔はな
灰色の雨が多く降っていたんだ」
懐かしそうに
未捺を膝にのせた男は
お土産のお菓子とお茶を
摘まみながら語り出す。
雨が降らなかった日は必ず、
葬式の線香の匂いや泣き声が
雨音の代わりになっていた。
灰色の雨は専門家たちが調べても
何故、降るのか分からない
この国の総理や政治家は
国民を守るため、
外出禁止令を出した
雨で大げさと思うなかれ
その雨は灰色で降る直前は、
雲がドロドロと鳴く。
そして運悪く雨に当たった奴は
マグマにでも飲まれた様に溶けていく。
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