第1章 知らない未来

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昔、未捺の家によく遊びに来る 親戚の男がいた。 古い着物をいつも着て、 お土産とたった1つの昔話を 聞かされていた。 「これ、ミナちゃん…昔はな  灰色の雨が多く降っていたんだ」 懐かしそうに 未捺を膝にのせた男は お土産のお菓子とお茶を 摘まみながら語り出す。  雨が降らなかった日は必ず、 葬式の線香の匂いや泣き声が 雨音の代わりになっていた。 灰色の雨は専門家たちが調べても 何故、降るのか分からない この国の総理や政治家は 国民を守るため、 外出禁止令を出した 雨で大げさと思うなかれ その雨は灰色で降る直前は、 雲がドロドロと鳴く。 そして運悪く雨に当たった奴は マグマにでも飲まれた様に溶けていく。
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