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第16章 恋の味(続き)
あっ……。
にわかに勤務中であることが、那々の頭に蘇った。
そして、我に返ると同時に、思わず出かけた声を辛うじて呑み込んだ。
確かに、クリスマス商戦でデビューした香水は、
年が明けた今も好調な売れ行きを保っていた。
だが、新たなカップル・イベントを前に、
何か更なる起爆剤が欲しくなるのも当然のこと。
そしてそれに、華やかなデビューを企てた張本人の売れっ子デザイナーを、
また引っ張り出したい。
ましてやその彼が、社員の旧友となれば
何がなんでも引き受けさせろと、お達しが来ても不思議はない。
だが一方で、一気に仕事モードに引き戻された那々は
立花の話にちょっと首を傾げた。
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