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しかし、それに淡く苦笑した忍は、
カップに添えた彼女の手にそっと自分の手を重ねる。
「那々ちゃんは、何も悪くないでしょ?」
「忍さ……」
しかも思わず出かけた那々のペナルティーを、
忍は、さらりと見ぬふりをしてくれる。
そして、「でも」と続けかけた彼女の言葉に重なるように静かに言った。
「それに立花だって、上司命令は本当かもしれないけど、
それに託けて、さり気なく僕たちの事を公認にしてくれたんだと思うよ。
僕たちの関係上、どうしてもこれからも少なからず関わりは持つことに
なるから、そんな時に気兼ねしないようにってね」
あっ……。
あの、物事も人もよく見ている上司ならば、そんな気遣いもしかねない。
それに気付くと同時に、那々のどこかがホッと安堵する。
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