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そして、
「那々ちゃん」
再び、そっと呼びかけてきた忍が重ねた手を柔らかく握った。
「夕食、これからでしょ? 僕の家で一緒に食べない?」
えっ……。
誘われたことは、素直に嬉しかった。
しかしこの週は、まだ始まったばかり。
感情のままに流されてしまうと、明日からの現実に支障がなくもない。
瞬時に浮かんだそんな事が、那々の躊躇いを誘いだす。
だが、そんな風に小さく迷う那々に忍は静かに囁いた。
「無理にとは言わないよ。でも、こうして顔を見てしまったから。
僕はもう、君を抱きしめないではいられないんだけどな」
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