第16章  恋の味(続き)

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そして、 「那々ちゃん」 再び、そっと呼びかけてきた忍が重ねた手を柔らかく握った。 「夕食、これからでしょ? 僕の家で一緒に食べない?」 えっ……。 誘われたことは、素直に嬉しかった。 しかしこの週は、まだ始まったばかり。 感情のままに流されてしまうと、明日からの現実に支障がなくもない。 瞬時に浮かんだそんな事が、那々の躊躇いを誘いだす。 だが、そんな風に小さく迷う那々に忍は静かに囁いた。 「無理にとは言わないよ。でも、こうして顔を見てしまったから。 僕はもう、君を抱きしめないではいられないんだけどな」
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