第16章  恋の味(続き)

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この日の夕方、立花がメールで呼び出したカフェに現れた彼は、 那々の姿を目に少し驚いた面持ちになった。 それから、わずかに警戒するように目を細めて彼らの向かいに座る。 「どういう事だ? 俺の仕事は、もうとっくに終わったはずだろ」 いつもの仕事モードの彼らしく、チクリと皮肉交じりに言われる。 しかし立花は、やっぱり相変わらず。 「分かってるって」 「それに、何を企んでるか知らないけど、今は別の仕事で手一杯なんだけど」 「ああ。お前が、片手間仕事みたいなことはしたくないのも、 十分、承知してるよ」 飄々として言いながら、「だけどな」と繋いだ彼の視線が那々に向けられ その続きを振ってくる。
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