第16章  恋の味(続き)

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「俺は、心から祝福するよ」 隣の立花が、彼女たちに微笑みながらそんな言葉を掛けてくる。 そして、 「それで俺は、今度は何をすればいいんだ?」 正面の恋人からも、諦めたように仕事の依頼が承諾される。 そして、改めて目を向けた忍の顔には、 もう完全に降参といったものが浮かんでいた。 「ありがとう」 だが立花は、当然の結果のように向かいの友人にニヤッと笑いかける。 正直なところ那々は、自分がいま置かれている現実と、 足を突っ込んでいる仕事とに、すぐには戻れなかった。 お蔭で、簡単な打ち合わせを始めた彼らを、まだ呆然と眺めていた。
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