第16章  恋の味(続き)

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「ペナルティー1」 えっ……。 確かに、立花の落とした爆弾の後で油断はしていた。 しかし、 「でも、『はい』って言っただけじゃ……」 さすがに、これは厳しすぎやしないか。 そんな不満を浮かべれば、忍はやっぱり甘くなる。 「もう、そんな可愛い顔されちゃ敵わないな。 じゃあ、今のは『貸し1』にしとくよ」 再び、優しい恋人の顔を向けられ、 ようやく那々の中でも、さっきまでの動揺と驚きが薄れ始めた。 しかし、いざ気持ちが穏やかさを取り戻してみれば、 やっぱり多少の後ろめたさは否めなかった。 だから、 「あの、ごめんなさい。 なんか、騙し討ちみたいにお願いをしてしまって……」 那々は、目の前のカップを両手で包んだまま小さく視線を俯けた。
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