第16章

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昂は、どんな気持ちでオレを見つめていたのだろう? 冴子に申し訳が立たない、とか・・・ 碧に大きな責任を負わせるような事は出来ない、とか・・・ 理由をつけては、彼女との距離が近くなり過ぎるのを回避して来た。 あたかも、それが彼女のためであるかのように・・・ でも、ホントは怖かっただけなんだ。 誰かを愛する事が・・・その誰かを失ってしまう事が・・・ 『人は、いつか必ず死ぬ時が来る』 その悲しみを、人より少しだけ知っているオレは・・・ 大切に思えば思うほど、彼女を失ってしまう日が来るのが怖くてたまらなくなっていただけだ。 だから自分を誤魔化して、自分に嘘を吐いて・・・ 誰かを愛したりしなければ、ツライ思いなんてしなくて済む・・・そう自分に言い聞かせて。 でも・・・そんなの・・・ 碧を手放す事なんて・・・最初から出来るわけがなかったんだ。 だって、オレはもう・・・こんなにも碧の事を・・・ そんなオレの思いを一番知っていたのは・・・もしかしたら、昂だったのかもしれない。
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